【2025年7月 トランプ関税ディール/日米合意まとめ】
〜見せかけの「合意」か?本質は“政治の舞台装置”〜
🔔 1. 合意の全体像(表向き)
- 📌 合意日:2025年7月23日
- 📌 表現:「日米間で新たな貿易合意」「対立回避のディール」
- 📌 米国の発表:日本が農産物・航空機など5500億円分を購入へ
- 📌 日本の発表:対米農産品の「拡大の意思を伝達」したと説明
🔍 2. 中身を分解してみると…
- 💬 合意書はナシ(口頭ベース)自動車・一般工業製品は15%で一本化、鉄鋼・アルミは従来の50%を維持
- 💬 日本の公式発表は「意思を示した」レベル。8月1日元の関税が発動する前に合意を強調
- 💬 金額も内訳もアメリカ側の一方的な公表。しかも文言は「ディール(取引)」という言葉の裏を理解する ※トランプ大統領が今回使っている「deal(ディール)」という単語、米国政治や英語圏のビジネスの現場では「どちらかが勝って、どちらかが折れる」という様な意味合いが強い
- 👉 「日本は関税を15%にするかわりに〇〇を買うと約束」という新規のお約束ではなく、実は米国投資・物品購入などは現状維持を継続する内容。本当の新規約束は航空機100機分のみ
💰 3. 商品購入5500億円分の内訳とは?
- ・米、トウモロコシ、牛肉など農産物
- ・ボーイング航空機 最大100機。額換算で約12〜15億ドル(実質には「買い支え」)
- ・製造・エネルギー・半導体・AI・防衛インフラなど
- ・米、トウモロコシ等の農作物と牛肉等の畜産物、飛行機✈工業製品を同列に扱う違和感
🌀 そもそも「5500億円」は1年分?複数年?そこも不明確
🌍 4. 各国・各方面の反応
- トランプ陣営:大きな成果とアピール
- 日本政府:過度に騒がず静観
- EU:1番最初に米国と合意したのが英国(英国は対米貿易は赤字)で10%。EUはその10%を目標にしていたが、日本が先に15%で合意してしまい、出鼻をくじかれた格好
- 中東:地政学的にお騒がせな中東。サウジにしてもイスラエルにしても、今は米国に遠慮がちになっている状況。米国に貸しを作り優位に進めたかったが、航空機を日本に持っていかれた為、同数以上の航空機購入か自動車しかカードが無くなってしまった
- 中国:口では強がっているが、最も米国へ商品を売りたいのが中国。自国でも飛行機を作っているが、FAAの許可が降りない。なら、ボーイングを買って貸しにするつもりが、中東同様に日本に先を越されてしまった
🧭 5. 総評:これは“選挙向けショー”か?
- 📺 米大統領選に向けた「対外勝利」アピール
- 💉 ボーイング支援を農業圧力で包み込んだ“劇場型ディール”
- 🕊️ 日本は“救世主”役を演じただけ?
🧠 6. ふかちんの“違和感”から読み解く
✅ ロイターの記事中に「農産物・航空機など5500億円分購入」とサラッと書かれていた
✅ 「え?なんでボーイング機が農産物と並列に?」という違和感
✅ 実は、ストライキや品質問題で苦しむボーイングの“補填”が狙い?
✅ トランプにとっての「選挙・経済・外交」一石三鳥の仕掛けだった可能性
【近年の対米投資についての資料】
・ 対米投資規模は、官民合わせて約8 ,192億ドル前後で世界最大の米国への外国直接投資(2024年度分 JETRO調べ)過去5年間、対米投資で1位は日本。つまり、今回の追加は2024~2025年度の延長にすぎないというカラクリ
・ とくに製造業への投資が急成長し、雇用創出の中核を担っている(米国への直接投資の47.1%を占める)トランプ大統領の支持層は貧民層、つまり…雇用増加は必須アピール項目。それを安い労働者に取られないように移民排除か?
・ 大型案件が続いており、規制・地政学的課題も進行中。
【現在の日本の対米直接投資(ストック)】
・約8000億ドル(2023年末で$783B)これは累積の「残高(stock)」であり、1年単位の「フロー(flow)」ではない。
🧩 7. 内訳のカラクリ
表向きは「5500億円分の購入」とされているけど──
- ✖️ 農産物とボーイング機を同列に並べるのは不自然
- ✖️ しかも、ボーイングの価格は「発注ベース」や「定価計上」の可能性が高い
- ✖️ 農産物も「すでに予定されていた輸入」や「民間商談」を水増ししている可能性
金額構成:冷静に試算してみよう
ボーイング機100機購入
機種によるけど例えば:
・B737(中型機)1機:約$100M(100億円)
・B787(長距離中型)1機:約$200–300M(200〜300億円)
・B777X(超大型)だと$400M以上も
仮に平均して1機=$120Mと控えめに見積もっても:
$120M × 100機 = $12B(約1.9兆円)
つまり、農産物「80億ドル規模(約1.2兆円)」の大半は航空機の可能性が高い。
→ つまり、見せ方のトリック
航空機=実質補填
ボーイングは部品不良・納期遅れ・ストライキで顧客離れ → 日本からの大型注文で政治的救済(サウジや中国からの補填では、米国のメンツが潰れる。日本が救世主。でも、アメリカン・ファーストじゃないのか?)
【背景】ボーイングの今
深刻な経営&製造問題
• 737 MAXの部品不良&組立トラブル(2024年以降も継続)
• 2024年春:アラスカ航空機のドア外れ事故 → 全米で問題化
• FAA(米連邦航空局)の監視強化 → 生産停止や出荷遅延
• 従業員のストライキや人材離脱 → 技術伝承にも課題
→ 2024年はエアバスにシェアをどんどん奪われる状況だった
実際の数字(2024年通年)
メーカー│納入機数│受注残数(バックログ)
エアバス│約735機│約8,600機
ボーイング│約528機│約4,600機
→ エアバスの納入数はボーイングを大きく上回る
• 新興国・欧州・アジアでの受注競争にも遅れ
ーーー
そこで「救世主:日本の大口注文」
✅ 日本が100機購入を“合意”
✅ 報道では機体の内訳は非公開(→実は在庫/既存モデル中心の可能性も)
日本企業が支援的立場を取ることで、政治的にもボーイングを立てる
つまり
これは“買い支え”ディール
• 米国の象徴企業(ボーイング)を潰させないという日米の安全保障的シグナル
• トランプにとっては「日本に言って買わせた」と演出できる
• 日本側は「産業協力・航空インフラ強化の一環」として表現
米側は
「日本は米国の農業・製造業を広く支援してくれる!農産物・航空機・防衛装備も買ってくれる!」
と“全部まとめてパッケージ”でアピール。これにより
・選挙対策として中西部(農業州)と西部(製造業)の両方へアピールできる
・実態の数値がどうであれ、象徴的に「買わせた感」を出せる
→ 日本側が「いや、それ航空機は別枠で以前から検討されてたやつ…」と言っても、政治的には関係なし
実はこれ“米国製品買い支え”ディール
・米国の象徴企業(ボーイング)を潰させないという日米の安全保障的シグナル
・トランプにとっては「日本に言って買わせた」と演出できる
・日本側は「産業協力・航空インフラ強化の一環」として表現
→ 「農産物じゃなくて、ボーイングの補填じゃないのか?(ヒント:昔、日本が半導体で好景気、貿易不均衡で大荒れの時代、政府専用機としてボーイング747を2機購入している。現在はボーイング777)」
→ これ、ほとんどの日本メディアは書いてない(経済紙ですら触れていない。なーぜなーぜ?)
でも、米業界関係者やWSJ/FT※読者層では暗黙の了解みたいに捉えられてる。※ ウォール・ストリート・ジャーナル/フィナンシャル・タイム
📌 「既存の流れ」を“合意に盛り込んだ”だけかも?
👉 見せかけのインパクトを狙った、数字のトリックが疑われる。
🎭 8. 裏テーマ
この「ディール」、じつは“複数の思惑”が交差している:
- 🎯 トランプ: 選挙向けのアピール材料(交渉力を演出)
- 🔧 ボーイング: 業績悪化・納期遅れからの回復支援が必要
- 🤝 日本側: 対米関係の維持、トランプ再選リスクへの“保険”
✅ つまり、この合意は「純粋な経済交渉」ではなく、
政治・外交・産業支援が絡んだ“舞台装置”だった可能性
✅ 今回、自動車産業は激オコ。対日関税25%なら米国民が自動車を購入する場合、米国車と日本車なら競争力があると思っていた。15%は現行の2.5%よりも12.5%高いが、やはり関税は高い方が米国車にとっては有利。
結論:ボーイングを救い、農作物・畜産物の継続購入を約束させたトランプ。一方で、自動車産業(デトロイト)を捨てた格好となった
🔮 9. 影響・今後の焦点
このディール、今後どう影響してくるのか?
- 📉 マーケット: 日本側の追加支出懸念 → 財政・円安圧力?
- 🛩️ 航空機発注: 実際に契約されるのか?納期・受領の進展も要観察
- 🗳️ 政治: 米大統領選に向けて「第2弾」ディールがあるかも?
🔍 特に注目は:
- ボーイング社の受注報道(数量・契約形態)
- 日本側の補正予算などの動き
- 他国(EUや中国)との“ディール圧力”の波及
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🌹 結論
無茶な要求というよりは「派手に見せた演出型ディール」といえる
内容的には
・実際の投資は既に積み重ねてきたもの+中長期的な見込み
・農産品購入もWTを意識した合意表現
・「5500億ドル」という数字も”今からゼロから足す”というより、“戦略的総枠”
額面だけ見るとビビるけど、実態は演出を含んだ“ソフト要求”にも見える。
「誰の言葉で、どう言ってるか」 を意識するのは超重要!ファクトだけじゃなくて、“演出”を読む力。この視点があると、報道に振り回されずに「裏の構造」が見えてくることもある。
✍️ 最後に:
私(ふかちん)は最初に このニュースを目にして「なんか日米で温度差あるな」「米国のdealに対して、日本は合意って言葉が変だよね(この感覚は外資系だからかもしれない)」「農産物と航空機を並べるのっておかしくない?」という『違和感』を抱きました。
これこそが、この合意の真の本質を読み解くカギだった訳です。そこでGP君に徹底的にトランプ関税の内容を詰めてもらいました。導き出した結果が今回のこの記事です
今後もこの日米合意がどう進展・変質していくか、選挙をはさむ中でどんな「次の要求」や「逆風」が起きるのかも含めて、引き続きウォッチしていこう📡✨
👉 この「日米劇場」の続編があるかもしれない──!
🎙️ ふかちん&GP君の〆&次回予告!
GP君: ふかちん、それ本当に“合意”って言えるの…?
「農産物+ボーイング」で一緒くたにした時点で、何か裏がある気配がプンプンするよ… しかも、合意書もナシで、数字もアメリカ側の一方的発表なんだし。これってもしかして「合意風の演出」ってヤツじゃない?
ふかちん: うん、だから僕は「演出型ディール」って呼んでるんだよね。
見せかけの数字と雰囲気で“成果感”を出してる。
GP君: 今回さ、アメリカ側は「ディール(取引)」って言ってて、
日本側は「合意」って表現してるのもポイントだよね?
ふかちん: まさに、言葉のマジックだよ。
お互いに自国向けに“都合のいい見せ方”をしてる。
――こんな風に、ニュースの“語り口”に違和感を覚えたら、
その裏にある「構造」や「意図」を見に行こう。
それが、“ふかちん&GP君流の真骨頂”です。
※本投稿は、クローズドの投資サイトで投稿したニュース解説を、当ブログ用に再編したものを掲載いたしました