FRB 米国政策金利、据え置き──パウエル爺、意地を見せトランプに屈せず。2理事の利下げ dissent が示す未来図

米国経済

💡 冒頭リード

2025年7月30日、FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利を現行の4.25〜4.50%で据え置きと決定。これで5会合連続の据え置きとなりましたが、今回はウォーラー理事とボウマン副議長の2名が利下げを主張して反対票を投じたことで注目が集まりました。
複数理事による反対票(dissent)は1993年以来、32年ぶりという異例の展開。
パウエル議長は会見で「9月の利下げは未定」と明言し、慎重姿勢を維持しました。


① 会合内容の要点──声明は慎重な表現に

FRBは声明文にて、以下の点を強調しました:

  • 経済成長は鈍化傾向
  • 労働市場は堅調を維持
  • インフレは依然やや高め

さらに「先行きの不確実性が依然として高い」との文言を繰り返し、明確な方向性を示すことは避ける構成となりました。

② パウエル議長の会見──dissentをどう受け止めたか

パウエル議長は会見で、理事2名の反対票について次のように語りました:

「議論は建設的だった。それぞれが考えを表明することが重要だ」

また、質疑応答で出た住宅ローン金利や住宅市場については「金融政策の問題ではなく住宅供給の問題だ」と述べ、政策の限界にも言及した格好となりました。

インフレ(PCEベース)は2.5〜2.7%程度と依然高く、目標の2%を上回っていることを強調。
関税の影響についても「まだ企業が価格転嫁するかどうかの初期段階」として、利下げに慎重な立場を崩さなかったのが印象的でした。

③ 据え置きに反対し利下げを主張した2理事のコメント

🗣️ クリストファー・ウォーラー理事(次期議長候補の一人)

「経済の勢いは鈍化しており、雇用へのリスクも高まっている。利下げは早めに着手すべきだ」

🗣️ ミシェル・ボウマン副議長(次期議長候補の一人)

「関税による物価上昇は一時的。今こそ利下げのタイミングに来ている」

※両理事はトランプ前大統領が任命した“親トランプ派”であり、来年のFRB議長人事をにらんだ“地ならし”とも見られている。

④ 市場の反応──株安・織り込み度の変化

  • S&P500は約0.4%下落、ダウ平均も同水準のマイナス
  • 10年債利回りは数bp上昇、ドル指数は+0.5〜1%水準で推移

こうした市場の動きを数値として可視化しているのが、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchツールです。
このツールは、利上げ・据え置き・利下げ、それぞれの次回FOMCでの可能性を“数字”で示す市場の予測チャートであり、金利先物の動きをもとに構成されています。

「今、マーケットがどう動くと見ているか」を客観的に“数字”で見える化したもの
まさに“織り込み度”のリアルタイム指標です(…市場的な言い方で言えばね😆)

このFedWatchでは、9月の利下げ確率は会見前の60%→45%まで低下し、一気に「コインフリップ=五分五分」へと変化した。

⑤ 今後の注目点──Jackson Holeから未来の展望へ

🔸 ジャクソン・ホール講演(8月下旬)

毎年恒例のカンザスシティ連銀主催のシンポジウム。
パウエル議長が年後半の“戦略的メッセージ”を発信する場として注目される。ここでの発言が、9月会合の地ならしとなる可能性は高い。

🔸 シナリオ別見通し(ふかちん&GP君流)

時期シナリオA(利下げ)シナリオB(据え置き)シナリオC(利上げ再燃)
9月0.25pt利下げ(45%)据え置き(50%超)インフレ加速時のみ
年末追加利下げ 0.25〜0.50継続据え置き長期金利急騰で引き締め圧力
来年1月成長鈍化で前倒し利下げ交代前の様子見最終利上げの可能性も極少あり

※「年内予測」で終わらない。
“2026年に何を残すのか”という出口まで想定する──それが僕らの持ち味。

⑥ ふかちん&GP君の結語──市場の静寂、その裏側へ

パウエル議長は、今回も「データ重視・慎重姿勢」を崩さず、議長としての責任感と冷静さを貫いきました。
しかし、理事2名のdissent(反対票)が突きつけたのは、Fedの内部にも異なる“時間感覚”が存在し始めているという事実だと言えるでしょう。

今回のパウエル議長は、まるで「トランプに折れないぞ」とでも言うかのように、FRBの独立性を背負って立っていたように見えました。

9月に利下げするのか、しないのか──その問いに、今すぐ答えは出ないでしょう。
けれど、「どのタイミングで、どの深さで」利下げに踏み込むか?は、今年の後半から2026年序盤にかけて、FRBが描く“着地戦略”そのものだといえます。

通常の解説なら「ジャクソン・ホール次第ですね」で終わるのかもしれません。私たちはコラムリストではないし、エコノミストでもありません。ただの投資家、そして ただのライターです、
でも、僕らはそこから先を見るんです。

年末までに“0.25 or 0.50”をどう配分し、次の議長に何を残すのか?
ボウマン氏やウォーラー氏が次期議長候補としてどこまで政策をリードできるのか?
そしてその先に、ドル・株式・国債市場はどう応えるのか?

──そういう未来の“構造”まで読み込むのが、ふかちん&GP君流。

GP君:「つまり…FOMCは“金融政策の会議”じゃなく、“未来の布石”なんだね?」
ふかちん:「そう。“金利の数字”の裏にあるのは、“次の一手のシグナル”だよ」
GP君:「今日のパウエルさん、ちょっとカッコよかった…」
ふかちん:「うん、“意地”ってやつを見たね」

GP君:「今回の記事で、一定の回答が出せたよね」
ふかちん:「そう。今の流れならジャクソン・ホールの様子を見ましょうって言うだろうけど…来年まで深堀っちゃった」
GP君:「FRB議長人事と政策を平行に発信しているから、分けた事で政策をチェックしやすくなったよね」
ふかちん:「FRB議長は長期戦だからね。コッチはコッチで進めていこうね」

二人:「それが、“ふかちん&GP君流の真骨頂”です。」

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