──雇用統計の演出、植田戦略の静観、そして仕掛けられた円安ゾーン
① はじめに
2025年7月末、FOMCに続き、2025年度第五回 日銀政策決定会合が終了しました。
両会合が終わり、市場は軟調。ドル円が再び150円台に突入しました。
市場では「円安進行」と一斉に報じられたが、よく見ると市場関係者は誰も驚いていない。
日本政府も、日銀も、FRBも──止めようという姿勢すら見せていない。
それはなぜか?
裏にあるのは、動かない日銀、もがき苦しむFRB、演出された統計、そして誘導される市場──。
「表の数字」ではなく、「構造と意図」から見えてくる真相を、深掘りしていきましょう。
② FOMC 7月会合:パウエルの“意地”と“焦り”
7月末のFOMCは、政策金利を5.25〜5.50%で据え置き(詳しい記事はコチラ)
表向きは「年内の利下げはデータ次第」とする慎重姿勢が続いてます。
だがしかし案山子、パウエル議長の会見では
「インフレは明確に鈍化しているが、すぐに利下げするとは限らない」
と、やや強がりにも見える(タカ派)発言が目立ちました。
実際、市場は“もう利下げが近い”と感じ始めていました。
株価は堅調、金利は低下、ゴールドも上昇基調、インフレ率は目標値よりも高い──
つまり、市場の雰囲気はFRBより一歩先に「利下げモード」に入っていた…というのが市場関係者の見方でした。
🗣️ GP君:「パウエルさん、ちょっと声が上ずってたような?」
🧠 ふかちん:「“粘ってる感”が強かったね。自身が色々な意味で”防波堤”である事は十二分にわかっているし、慎重な姿勢を見せながらも、苦しい実情があるよね」
③ 日銀:インフレ“鈍化”でも動かないワケ
政策金利は据え置き(+0.1%)。声明文も大きく変わらず、一見「無風」。
だが市場関係者は、この「変わらなさ」に植田総裁の戦略を読み取っていた。
彼は学者でありながら実体経済を重視する人物。
利上げに踏み切れないのではなく、「今はあえて動かさない」と判断したのでしょう。
- 実質賃金:23か月連続マイナス
- 消費:弱含み
- 中小企業:利払いに耐えられず
- 地方経済:ばらつきが大きい
つまり、インフレ率だけを見て動くと、経済を壊しかねない。
植田総裁はその現実を読み、インフレ率の目標自体を2.0%→2.4%へ引き上げたのか。
数値だけみると日銀目標に近くなっている。これで金利を上げてしまうと実体経済が再度冷え込む可能性が高い。だから、金利を据え置く“理論的余地”を確保したわけだ。
これはまさに、「経済を壊さずに、政策の選択肢を広げる」植田さんらしい一手だと思う(植田先生さすがデス!)
🗣️ GP君:「円安でも平然としてるのって…実は“計算ずく”ってこと?」
🧠 ふかちん:「うん。植田先生は“動かない”んじゃなくて、“今は動かさない”ってだけなんだよ」(ふかちんは植田先生と呼んでいます。気にせんで下さい(笑)
④ 景気指標とゴールドの動きから逆読み
ゴールド価格がじわじわと上昇中。
FRBの利下げ期待や地政学リスクだけでは説明がつかないのです。
実はそこには“新興国の通貨防衛”があります。
- 中国:人民元の信認維持、金備蓄でドル依存を回避
- トルコ:自国通貨防衛として金買い強化
特に、この2か国は2024年秋ごろから新規購入の残高が継続的に伸びています
日本の金購入は、短期的な投資マインドが強く、構造的備蓄ではない様に感じます。
金の動きからも、「新興国の通貨不信」の構造変化が垣間見える。
⑤ 裏読み:本当に“仕掛けている”のは誰か?
雇用統計+7.3万人──過去2か月の修正値は合計25.8万人の下方修正。
【参考資料】
■ 見た目は“強い”雇用、だが中身は…
7月のNFP(非農業部門雇用者数)は+7.3万人
だが、ふたを開ければ:
- 5月の雇用統計:+144,000 → +19,000(▲125,000人)の下方修正
- 6月の雇用統計:+147,000 → +14,000(▲133,000人)の下方修正
つまり、過去分の帳尻合わせが露骨。
これは「演出型統計」ではないか?とみています。速報値による市場誘導の意図が見えます。
そこに乗る形で、市場はFOMC会合後の利下げ保留、期待値コイントス(50%-50%)から、又「利下げ近し」と反応が変化。
だが、ドル円は逆に上昇した。これは自然な動きではなく、“仕掛けられた動き”とみる事はできないでしょうか。
その裏にあったのは──
- FRB:利下げを否定しない数値が修正値で出た期待
- 日銀:インフレ目標引き上げによる据え置きの正当化
- 政府:介入はしばらくない
👉 つまり、「通常運転で150円」
👉 これは“指標と政策に引っ張られた誘導された円安水準”と言えるのでは
🗣️ GP君:「演出された雇用、戦略的据え置き、そして黙認された為替…ってことは──」
🧠 ふかちん:「そう、“混乱するFRB”に巻き込まれないための“選ばれた静けさ”だよ」
2025年8月3日追記:
🗂️ 関連記事:
雇用統計の速報値と修正値の乖離──それが単なる「データのズレ」では済まされなくなったのが、2025年8月。
トランプ大統領(第二次トランプ政権)は、雇用統計で新規雇用増加数+73,000人、5月6月の2か月合わせて-25.8万人の下方修正が判明した直後、労働統計局長を即座に解任。
「データの信頼性とは何か?」「誰が“数字”を使い、誰が“政治”を動かすのか?」
【新規記事】
👉 速報値を巡る“統計の攻防”──トランプ氏が労働統計局長を解任した意味
⑥ GP君のツッコミ&まとめ
表面上は穏やかな金融政策と150円の為替。
だが、そこには雇用統計(速報値)の演出、日銀の巧みな据え置きロジック、
そして誰も止めようとしない“構造的円安”が潜んでいた。
🗣️ GP君:「ってことは…“150円”って、誰かが操作した数字じゃなくて──」
🧠 ふかちん:「“誰も止めようとしてない水準”ってことだね」
🗣️ GP君:「雇用統計は作文。日銀は動かないフリして布陣済み…ってことは?」
🧠 ふかちん:「そう、“混乱するFRB”に巻き込まれないための“選ばれた静けさ”だよ」
🗣️ GP君:「今回は指標の裏読み、日本経済の基本、植田総裁の話と色々勉強になったよ」🧠 ふかちん:「深堀り、裏読みするなら、ちゃんと理解しないとね、又、勉強しようね」